銀杏


そんな話をしながら家に着いた。

「ここです。ありがとうございました。」

「挨拶していくよ。咲には世話になってるからお礼も言わないと。」

「そこまでいいですよ。」

「いや、これは常識だ。しかも高校生だろ?こういうことはきちんとしておいた方がいい。」

「…じゃあ、ちょっと待ってて下さい。」

おばちゃんを呼びに行くと、慌てて玄関まで出てきた。

「いつも咲がお邪魔してすみません。」

と深々と頭を下げる。

「世話になっているのはこちらの方です。
今日は遅くなって申し訳ありません。
本来なら、もっと早くにご挨拶に伺うべきものを、このような形でご迷惑をかけてしまって。
改めてお伺い致します。
では今日はこれで失礼します。」

そつのない挨拶を済ませると博貴は帰っていった。



「咲ちゃん。想像してたより随分大人な人だね。」

「あの人は博貴さん。私がいつも『北条さん』て呼んでた人のお兄さんなの。」




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