銀杏
「…なあ。もう変なこと頼まれんな。
咲は強引な奴に弱いだろ。きっとそういうとこに漬け込まれるんだ。
俺は知らない子と知り合うより、咲と話したりふざけたりする方がいい。
こうして……」
話の途中で尊は手を伸ばして咲の手を握った。
「こうして手を繋いでるだけでいいんだ。」
仰向けに寝転んだまま、お互いを見つめ合う。
視線が絡んで繋いだ手に力が入る。
「咲。……好きな…」
「ん?何。」
「あー、いや。何でもない。」
「何?ちゃんと言いなさいよ。」
「いいって。」
「よくない!言いかけて止めるなんて男らしくないなあ。こら!言っちゃえ。」
ぎゅ~っと手を握って催促する。
「……好きな………かよ?」
尊は咲とは反対の方を向いてぼそりと呟く。
「何て?こっち向いてよ。聞こえない。」
「だからあ、………かよ?」
「聞こえないってば。」
手を握ったままごろごろと寝返って尊と密着する。