銀杏


………。

いや、違う。
こんな体勢で寝てるからだ。
ほんっとに寝相悪いんだからっ!
暑いってのよ!
私は抱き枕じゃなーい!!
寝させてあげてるんだからもう少し遠慮しなさいってば。

揺さぶっても、突ついても、くすぐっても起きないんだから。

そういえば小学校の林間だっけ?行きのバスでグウグウ寝ちゃって、なかなか起きなかったんだよね。ふふ…変わんないなあ。

雨音は次第に大きくなってザアーッと聞こえる。

今何時?
まだ5時か。もう少し寝よう。

抱き枕状態を解消するべく、尊の足と腕を退かし、改めて手を握って目を閉じた。



突然、頭に衝撃を受けて目が覚めた。

「あいたあ…。う~ん、もう一体何?」

目を開けて辺りを確認すると、枕元に仁王立ちするおばちゃんが目に入る。

「おばちゃん、…おはよ。」

「何呑気にしてるの!もう7時半だよ。遅刻したいの!?」

「え、7時半!?やばっ!」

慌てて飛び起きて、はっと気づいた。

「尊は?」

「尊?とっくに行ったけど。どうかしたの?」

「いや、夕べ一緒に…」

「…何したの?」




< 435 / 777 >

この作品をシェア

pagetop