銀杏
中学の制服ができあがった。
試着してサイズが合ってるかどうか確かめる。少し大きめに作ってあるからガバガバだけど、3年間着るのだから仕方ない。
この頃の尊は少しずつ身長が伸びてきて、私と同じぐらいだった。
一年前まで私よりチビだったくせに…。
「ほら、二人とも並んで。写真撮るよ。」
おばちゃんが私たちに言った。
「いらねえよ、写真なんて。これから毎日見るじゃん。」
「何言ってんの。記念だよ、記念。すぐだからほら早く。」
間隔を開けて壁際に立つ。
「何でそんなに離れるの。もっとくっついて、ホラホラ。」
並んで立ったものの、尊はシャッターを押す瞬間にソッポを向く。何回やっても正面を見ない。