銀杏
温かい。
お母さんがお兄さんと仲が良かったのがわかる気がする。
だってほら。
こんなにも落ち着くことができるんだから。
博貴の大きな手が咲の頭を撫でる。
何度も撫でながら「尊くんに感謝だな。」と呟いた。
尊…?
「…どうして尊?」
「当たり前だろ?彼の家族も勿論だが気持ちの支えは彼の筈だ。違うか?」
「…違わない。」
この人はなぜこんなにも私のことがわかるんだろう。
尊とどうやって関わってきたかなんて話したこともないのに。
「彼は大切にしなきゃいけないよ。これから先もきっと咲のことを助けてくれる。」
「……会ったこともないのにどうしてわかるの?」
「咲を見てたらわかる。尊くんを信頼して、甘えられて、喧嘩しても許し合える。そして一番愛する人。だろ?」
………。
思わず博貴から離れて後ろを向いた。