銀杏


やだ、やだ、やだ―――!!

何で!?
何で全部バレてるの!
恥ずかしくって顔を見せられない!!
耳まで熱くなって…涙が出てきた。

「咲?」

「……。」

「そんなに恥ずかしいか?尊くんが好きだと思う咲の気持ちは恥ずかしいものなのか。」

後ろ向きのまま首を左右に振る。

「気持ちが恥ずかしいんじゃなくて…知られたことが恥ずかしいの。それに……。」

「それに?…何?」

「家族だと思って接してきたのに、こんな気持ちになっちゃいけないと思ってる自分がいて、どうしたらいいのかわからない。尊もきっと妹ぐらいにしか思ってないよ。」

「…そうか。じゃあ、…諦めるか。確かめもしないで自分で答えを勝手に決めて、辛い気持ちのまま一緒に暮らす。地獄だな。俺には真似できないなあ。」




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