銀杏


「あ?…福田くん。あれ…寝てた?」

「うん。」

「やだ。恥ずかし!みんなは?もう着替えちゃった?」

「…もう帰ったよ。一文字だけ。」

「やだなあ。誰か起こしてくれてもいいのにねぇ?
着替えてくる。」

慌てて更衣室に入っていった。

いけない、いけない。大事な時に風邪なんか引いてられない。もう、何で誰も起こしてくれなかったんだろ。

……誰も?

………。

誰も気づかない筈がない。
じゃあ、わざと放ったらかしにされたの?

何で?

「おーい、まだあ?」

あ、待っててくれたんだ。

「ごめーん。今行くー!」




真聖と帰りながら顔を赤らめた。

「あんなとこで寝ちゃうなんて恥ずかしかったあ!最近、練習きつくてどこでもすぐ眠たくなるんだよね。福田くんはそんなことない?」

「まあ、疲れてはいるけど一文字ほどじゃない。」

「ふうん、そうなんだ。でもみんな薄情だよねー。教えてくれればいいのに。」




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