銀杏
「あ、そうだ。いつ?」
「明後日。」
「明後日…。ごめん、大会が済むまでは行けそうにない。」
「……そっか。ま、でもその試合は地区大会だし、県大会までいけば見応えのある試合が多くなるしな。そん時には来いよ。」
「うん!」
夏休みに入ってすぐ、北条さんが帰って来た。
メールをもらって喫茶店で会う約束をした。
今までは北条さんの家で会うことが多かったから、趣向が変わって少しドキドキする。
カランカラン…
扉を開けるとベルが鳴る。
木造でできたそのお店はログハウスになっていて、テラスには手作りの木のベンチ。芝生の庭に小さなブランコや滑り台があった。
まるで森の中から切り取ってきたようなお店だった。
北条さんはテラスの側の席に座って外を眺めてる。
そっと近づいて後ろから「わっ!」と驚かした。
ビクッと肩が跳ね上がってびっくりした表情の北条さんが可笑しくて、クスクス笑った。