銀杏
「久しぶりですね、北条さん。ふふっ…。」
「…驚かすなよ~。あー、びっくりした。」
「えへっ!大成功。」
にこにこしながら貴士の向かいに座った。
「………。元気だな。俺のいない間、いいことでもあった?」
「えへへ…。」
笑いながら、ぽっと赤くなる。
「何だよ?言ってみろよ。」
「内緒!」
「……ふうん。俺には関係ない…か。」
あれ、少し不機嫌になっちゃった?
「まあいい。俺ね、卒業したら北海道に行くことにした。」
「え…。何でそんな遠いとこへ?」
「獣医師になるんだ。」
そうだったんだ。道理で大学の在学期間が長い訳だ。
「でもそれだったら病院もこの近くにあるじゃないですか。」
「専門が馬なんだ。」
馬?
「馬…てあの競馬とかで走ってる馬?」
「うん。」
「…じゃあ、就職もそっちでするの?」
「そういうことになる。」