銀杏
そんな…。じゃあ、北海道へ行っちゃったらもう…会えない…。
「…それはもう決定なの?」
「そりゃあ、何より卒業しなきゃいけないし、試験に合格しないとダメなんだけど。」
「…寂しくなりますね。」
「本当にそう思う?」
「そりゃそうですよ。おばさんもお兄さんも…」
「俺は咲ちゃんに訊いてる。」
「…え?」
「本当に寂しいと思うのかどうか。」
「あ…当たり前ですよ!」
「…そ。咲ちゃんは兄貴がいればいいのかと思ってたよ。」
「ち…ちょっと待って。それ、どういうことですか?北条さんは北条さんでしょう。誰も代わりなんかできません。」
「それを聞いて安心した。
向こうにいる間、色々忙しくてね。もう住む場所の目星も付けてる。田舎だからここほど便利ではないけど、そこそこやっていけそうだ。
夜一人でいると静かで君のことばかり考えていたよ。」