銀杏
練習していても北条さんのことが頭から離れない。
「一文字!何やってる!?集中しろ!!」
「はい!すみません!」
先生に叱られちゃった…。
できてたことがうまくいかない。
練習の後、福田くんも一緒に呼ばれた。
「お前ら、何で二人が呼び出されたのかわかるか?」
咲は首を傾げたけれど、真聖はまっすぐ顧問を見据える。
「一文字はわかってないらしいな。あのな…。」
先日の真聖とのことが噂になっているらしかった。
「付き合ってるのか?」
「いいえ。」「はい。」
二人同時に答えた。
「……おいおい、どっちなんだよ。まあいい。福田は練習に支障はないのか?」
「はい、ありません。逆にモチベーションは上がってます。」
「だろうな。一文字はどうだ?…訊くまでもないか。今日は調子が落ちてるのは明らかだからな。本番を前にしてこんなんじゃダメだろ。付き合ってるのが原因か?」