銀杏
「母の…昔の知り合いの息子さん。福田くんを通じて知り合ったんです。」
「…一文字はどうしたいんだ?」
「行きたくありません。」
「何だ。答えは出てるじゃないか。」
「………。」
「それをきちんと伝えればいいだけだ。何を悩む必要がある?……しかし、まだ高校生のお前に北海道へ連れて行くなんて…。そいついくつだ?」
「24です。」
「ふーん。人生設計なんてこれからだろうに。気の早い…。俺だってまだなーんにも考えてないのに。」
「…先生、いくつなんですか?」
「おー、そうきたか。トップシークレットなんだがなあ。よし!特別に教えてやる。誰にも言うなよ。」
先生は手招きをして咲を近くに寄せた。
「34だ。」
え?案外いってたんだ。
「へえ。意外…。」
「こら!意外って何だよ?」
「いえいえ、もっと若いかと思って。」
「おー、お前はいい子だな。特別にご褒美やる。」