銀杏


彼女の言葉に甘えて門の内側、大きな木の下で待つことにした。

涼しい。
…あのまま門の前で待ってたらまた日射病になってたかも…。

花壇の縁に座って待ってるうちにウトウトしだして、膝に頭を乗せていつの間にか寝てしまっていた。



遠くで賑やかな声がする。楽しそう。男の子も女の子も混じってる。

誰かが気づいたみたい。

「あれー、誰?」

「緑ヶ丘の制服じゃねーの?」

「誰か待ってんのか?」

「あ、俺この子知ってる。確か尊の…おーい尊ー!」

尊?
尊が来たの?
起きなきゃ!

いきなりガバッと顔を上げたせいで傍にいた人を驚かせてしまったみたい。

「うおっ!びっくりした~。君、尊の妹だっけ?」

「おい、話かけんな。」

「あ、尊が来た。」

「おー怖!退散しようぜ。」

さっきまで咲を取り囲んでた人たちは誰もいなくなった。




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