銀杏
「えー?何で尊が後ろなの?男がこぐのが普通でしょ?」
「俺だって疲れてんだもん。」
「ほらほら、さっきの先輩もいじめちゃダメよって言ったでしょ。」
「いじめてんのは咲だろ。」
家と変わらない会話。
言いたいことが言える。
この関係を壊したくない。
「じゃあ、半分ずつしよう。前半は俺、後の半分はお前な。」
「わかったよ。」
尊の自転車の後ろに乗っていざ出発!
「……。」
「…ねえ。」
「何?」
「下り坂…。」
「えー?何ー?」
「下り坂ー!ばっかりじゃん!!」
「それが何だよ?」
「狡いー!尊の方が楽じゃないー!」
「知るかよ!お前も納得しただろー!」
「もう!」
怒りながらも尊の腰に回した腕をぎゅっとして、背中に頭を預けた。
「そんなにくっついたら暑いって。」
「知らない!」