銀杏
一気に目が覚めた。
「ごっごめん!!ごめんなさい!あ…と、えと、どうしよう…。」
気温は高くて暑い筈なのに、背中に冷たい汗がツーッと流れる。
だって尊は意地悪そうな笑みで見下ろすんだもん。何を言われるんだろう。
「今夜、部屋まで来い。」
「…はい。」
何も抵抗できない。
ここは大人しく言うことを聞いておかないと。
「ただいまー。」
おばちゃんが帰ってきた。
明日は土曜日。
でも尊も咲も試合が近いために休みはない。
食事もお風呂も終えて後は寝るだけの状態で尊の部屋を訪れた。
そっと扉を開けて、おずおずと足を踏み入れる。
扉に背中を密着させて立ったまま俯いていた。
「あの…今日はごめんね?もう尊の学校に行ったりしないから。その…許して?」
「マッサージ。」
「はい?」
「腕マッサージして。」
「う…うん。」
これで許してくれるのかな?