銀杏


「煩い。少し黙ってろ。」

一言で咲を黙らせる。

「……さっきから凄い心臓の音がしてる。緊張してるの?」

黙った途端、顔に血が上って、今多分真っ赤な筈。

黙って頷く。

「…大丈夫何もしない。こうしてキスするだけ…。」

……頬と…首筋と…手の甲……。

いつの間にか尊の腕は緩んでいて、顎を掴んだ手はゆっくりと尊の方へ向けられる。真っ直ぐに見つめられて…見つめ返す。

「…咲から…」



「…キス…して。」

え…え?…えええ―――!!!
何で何でぇ――!そんな…やだ!恥ずかしい。

首をブンブン振った…つもりだった。
でも尊の手が顎をしっかり掴んでいて振れなかった。
挙げ句、もう片方の手を使って後頭部をぐいっと押された。

頷いた格好だ。

「あ、今頷いた。はい、やって。」

「い…今のは尊が押さえるから…。」

「ダメー。俺のこと好きならやって。」




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