銀杏
観客席から下を見下ろす。
自由形は一番人数が多いからどこに誰がいるかなんてわからない。
予め順番を書いた表を見て何列目の何コースかを確認する。
ミッチは3列目の3コース。客席を見ても尊はまだだ。たぶんミッチのレースには来ない。
私の時もどうなるのかわからないのだから。
自由形、背泳、平泳ぎと続き、ここでお昼の休憩になった。
この後、バタフライ、メドレー、リレーと続く。
お昼ご飯を終え、ロビーにいるところで「咲。」と呼ばれた。
「あ、お兄さん!来てくれたんですね。ありがとうございます。ここの場所、すぐわかりました?」
「ああ。以前来たことがあったからね。」
「あ、そうか。」
「先輩。先に戻ってますね。」
「うん。」
それまで一緒だった後輩は戻って行く。
「いいのか?」
「まだ時間あるから。」
「尊くんは?」