銀杏
「テニスの試合が一週間後に控えていて、来れるかどうかわからなくて。」
「………ふうん。…そっか。」
首を傾げながら答えるお兄さんに違和感を覚えた。
「どうかしたんですか?」
「…確か咲が世話になってる人って天宮さんだよね?」
「うん。何かあるの?」
「…いや、ちょっと。」
首を傾げて考えてるようだった。
「一文字!ミーティングするぞー。」
少し離れたところから顧問に呼ばれて「それじゃ。」と博貴と別れた。
「すみません。…先生?」
博貴の後ろ姿を見つめる先生に咲は訊ねた。
「今のは知り合いか?」
「はい、そうですけど。先生知ってるの?」
「昔の知り合いに似てるような気がして…。彼の名前は?」
「…北条博貴さんですけど。」
「え…やっぱり…やっぱりそうか。」
「先生?」
「ビンゴだ。」
先生はニッと笑った。
先生とお兄さんは知り合い?
ミーティングを終えて、午後の競技が始まった。