銀杏


最初、誰にも気づかれてないと思ってた。
試合が終わって引き上げる時にみんなぴっくりしてた。
でもいち早く咲にバレてたなんて。
やっぱり咲には隠し事は通用しない。

愛しくてたまらない。
俺の気持ちはどこまで咲に伝わってるの?
どうすれば伝わる?

「…さ…き……。」

抱き締めた腕に力が入る。

後ろから抱いた手を一度放して反転させた。
正面から咲の瞳を捉える。
左手を咲の頬に添えて顔を近づけた。

「咲、…好きだ。愛してる。」

まだ高校生なのに『愛してる』なんて言葉は早すぎるのかもしれない。
でも今はそれ以外に言葉が見つからない。

そっと口づけた筈なのに…そのまま次第に深くなっていく。
頬に添えた手はいつの間にか背中に回って肩を抱き、右手は腰に…。
咲も俺の背中に手を回して抱き締める。
体を密着させて長いキスをした。



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