銀杏
不機嫌な尊
尊は朝早く試合会場へ向かった。
試合の時間には早すぎる。
不思議に思いながらもそのまま見送った。
会場に着くとまだ第2試合の途中で、尊はこの次だからとトイレに行った。
そこで女の子たちの会話が耳に入る。
「昨日の出場選手、ケータイで撮ってたんだけど…見て見て!」
4人の子たちが一つのケータイに群がった。
「ほらっ!どう?格好いいでしょ。」
「ユカ。あんた、試合見ないで顔ばっか見てたの~?」
「違うよぉ。ちゃんと試合も見てたって。よく見てよ、ほら。そこらの芸能人よりずっと…。」
「あ、ホント。格好いい。」
「どれどれ?」
「ふーん。ユカの好みってこんな顔?」
「でもさあ、写真で見るより実物だよね。写真は写り方で変わるじゃん。」
「じゃあ、見てみなよ。彼、昨日の試合に勝って今日も来てる筈だから。」
「見に行こ、見に行こ。何試合目?」
「第3試合。」
「もうすぐじゃん。急ごう。」
バタバタと出て行った。