銀杏
「……何だよ。」
「素っ気ない返事。偶然会ったのにニコリともしないのね。」
偶然?本当に偶然かよ。
「へえ、プリンかあ。好きなの?私も買おうかな。」
勝手にすればいいじゃん。
適当に咲のジュースを選んでレジへ向かう。
支払いを済ませるとさっさと店を出た。
「あー、待ってよ。」
俺の後から小走りで追いつくと腕に絡みついた。
「はあ、歩くの速ーい!急ぐの?せっかく会ったんだし、少し話さない?水泳大会の時も話できなかったし。」
「放せよ!…ちょうどいいや。お前に話がある。さっき、後つけてたのお前だろ。何であんなことすんだよ?」
「やあだ。“お前”なんて。“ミッチ”て呼んでよ。
電車で見かけたのよ。
声かけようと思ったのに随分雰囲気悪いみたいだったから、様子伺ってただけよ?」
どうだか…。