銀杏
「ずうーっと連絡待ってたんだよ?電話番号やアドレスも教えたのに。寂しかった。」
「…そっちはどういうつもりか知らねえけど、俺はお前と仲良くするつもりはない。付き纏(まと)うな。」
「冷たいなあ。咲とはあんなに仲いいじゃない。私の方がずっとモテるよ?」
「俺には関係ない。」
吐き捨てるように言い放ち睨み付けた。
「…どうして?咲はただの家族でしょ。“彼女”にはなれないじゃない。それに咲は尊くんに迷惑ばっかかけてるんじゃないの?
私だったら…尊くんのために何でもするよ。」
咲のことを小馬鹿にしたような言葉にカチンときた。
「咲のこと、知ったような口利くな。…お前なんかに何がわかる?上辺だけで人を判断して、人の気持ちを理解しようなんて、これっぽっちも思わない奴に言われたくない。
いいか?俺はそんな奴は大っ嫌いだ。
それにさっきから心配してついて来てる奴がいるだろ?
あいつに構ってもらえば?」
「え?」
彼女の後ろに視線をやると、振り向いて人影を見つけたらしく「…福ちゃん…。」と言った。
その間にその場を離れた。