銀杏
〈真聖side〉
「何してんのよ?こんなとこで。」
「犬の散歩。」
「あっそ。
私が振られるとこ見て楽しい?そっちだって振られたんでしょ?」
「…ミッチほどじゃない。」
「どっちにしても振られたら同じよ。」
「…そうだな。」
「私、絶対諦めないから。だから福ちゃんももっと…」
「いい加減にしろって!」
「何で!?咲のこと好きなんでしょ!だったら強引に…」
「そんなことしても辛いだけだ!無理やり手に入れても心がなければ意味がない。」
そうだよ。意味がないんだ。
なぜ一文字が好きになったのか、どこに惹かれたのか考えたんだ。
彼女の優しさ、仕草、素直さ、努力家…ちょっと鈍臭いとこ…。
俺の好みにドンピシャで、知り合ってからどんどん惹かれていった。
でもそれらは全てあいつのものだった。