銀杏


「やだ。」

「お願い…。これ以上尊に見られたくない。」

「…わかった。後ろ向いてていいから、少しの間目を閉じてそこでじっとしてて。」

尊に背中を向けたまま頷いた。

パチン…

あれ…電気消した?

「これで何も見えない。咲の顔は泣いてても、微笑んでてもわからないよ。だから…何が欲しいのか…言って?」

それでも言葉にするのは難しい。
見えなくても想いを口に出すのが恥ずかしい。

「………。」

躊躇しているとその心を見透かしたように後ろから尊の手が伸びてくる。

そっと腕を掴まれて肩がビクッと跳ねる。

「咲。俺たち恋人同士なんだろ?違うの?」

言いながら引き寄せられて、背中に尊の筋肉質な胸が当たる。そのまましっかりと腕の中に包まれた。
耳元で尊の言葉は続く。




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