銀杏


「想いを口にするのは恥ずかしいことじゃない。ここにいるのは二人だけ。咲の心が知りたい。…言って。」

咲を抱き締める腕の力はだんだん強くなる。
咲の頭に尊の頬が当たる。
温かくて柔らかい尊の唇が頬にキスをする。
顎を掴まれ、その手の指示通りに動かされてゆっくりと見上げる。
暗い中でうっすらと見える尊の瞳を捉えた。

そっと顔が近づいて触れるか触れないかで目を閉じた。
でも一向に触れない唇に痺れを切らしたように目を開けると、寸止めされた口づけは、お預けをするように焦らされる。

こんなところで焦らされるなんて。

「…意地悪。」

「ほら、早く。咲が言わないから…俺だって…焦らされてるんだ。」

「……そ…なの?」

「…うん。」

「…じゃあ……キ…ス……して。」

返事は尊の熱いキス。

キスをしながら正面を向かされて…尊のキスはなかなか終わらない。
でもまだこのままで…いさせて。

膝がガクガクと震えて、ガクッと崩れた。




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