銀杏
「おっ…と。」
うまくキャッチしてくれて、そこから掬い上げるようにひょいっと抱っこされた。
うわっ…私、見た目より重いの!腰、痛めるよ。わーっ!恥ずかしい…止めて止めて。
おたおたと気持ちは焦るばかり。
でも…。
尊は思ったよりしっかりと抱いてくれていて、心地いい。
大人しく抱かれていると、静かにベッドに降ろされた。
「…重いでしょ?」
「そっか?咲一人ぐらいどうってことないよ。」
「中学の時はおぶってもらってふらついてた。」
「そうだっけ?もう忘れた。」
尊は横向きになって右肘を立てて上半身を支えた状態で寝そべる。空いた左手が咲の指と絡まる。
心臓の鼓動が大きすぎて胸が震えてる。
こんなにドキドキしたら尊にバレちゃう。
…ちょっと薄着すぎた。上からもう一枚羽織ればよかった。
「…ちょっと薄着過ぎない?」
「……うん。もう一枚着ればよかった。ごめん。」