銀杏


「は…離して!」

それまでクラブの話を一方的にしていた尊は、驚いた顔をして腕をほどいた。

「あ…ごめん。暑かった…よな。」

一瞬見せた寂しそうな顔は、ムスッとした表情に変わり、肩を並べて歩いていた距離は、一歩前へ進んだ尊の後から咲が歩くという格好になった。

…言わなきゃよかった。




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