銀杏


それでギリギリになっちゃったんだ。

「もし間に合わなければどうするつもりだったの?」

「さあ、どうなってたかな。あんまり考えてなかった。絶対間に合うと思ってたから。」

その自信はどこからくるの?私だったら焦ってしまうし、もし間に合わなかったら…と考えるだけで怖いよ。

尊は仰向けになるとそっと目を閉じる。

「眠い?」

「うん。」

「じゃあ…部屋戻るね。」

「ここにいろよ。」

「え?だって…」

「母ちゃんには起こさなくていいって言った。」

「…いつも起こしてもらってたの?」

「いつもの時間に起きなかったらね。明日はゆっくりできるから。」

「そうなんだ。じゃあ、一緒にいる。」

指を絡ませた手を握って、尊に抱かれるように胸に顔を埋めて眠りに就いた。




< 553 / 777 >

この作品をシェア

pagetop