銀杏
それでギリギリになっちゃったんだ。
「もし間に合わなければどうするつもりだったの?」
「さあ、どうなってたかな。あんまり考えてなかった。絶対間に合うと思ってたから。」
その自信はどこからくるの?私だったら焦ってしまうし、もし間に合わなかったら…と考えるだけで怖いよ。
尊は仰向けになるとそっと目を閉じる。
「眠い?」
「うん。」
「じゃあ…部屋戻るね。」
「ここにいろよ。」
「え?だって…」
「母ちゃんには起こさなくていいって言った。」
「…いつも起こしてもらってたの?」
「いつもの時間に起きなかったらね。明日はゆっくりできるから。」
「そうなんだ。じゃあ、一緒にいる。」
指を絡ませた手を握って、尊に抱かれるように胸に顔を埋めて眠りに就いた。