銀杏
「水泳大会、優勝したんだって?おめでとう。」
いきなり大会の話をされて面食らった。心は友美の話を聞く準備が整っていたのに、咲のことから入っていく。
「あ、ありがと。何で知ってるの?誰か言ってた?」
「うん。水泳部の子から聞いた。ついでに天宮くんのことも。」
「尊のこと?」
「うん。水泳部の子が天宮くん狙ってんのよね。で、大会に来てたからびっくりしたみたい。その後一緒だったんでしょ?話してるの見たから『どういう関係か知ってる?同じ中学だったよね。』って訊かれて。
天宮くんに気持ちは伝えたの?」
「あ…う……まあ、ね。」
佐古田先輩がいないのに、そんな報告できないよ。
「ホントに?はっきり言いなさいよ。うまくいったの、いってないの、どっち?」
友美に下から覗き込まれ、その視線にタジタジとなりながら答えた。
「うん。うまくいったよ。」
「そう。よかった。焦れったかったのよね。やっとくっついたのかあ。」
友美は心底安心したように呟いた。
「…心配かけてごめんね?」
「何言ってんの?親友でしょ。」
「うん!」
少し元気が出た様子の友美にほっとした。