銀杏


プールに入れる時期も終わり、筋トレばかりの日々が始まった。

温水プールでもあれば毎日泳げるのに。

その点、テニスは年中できるからいいなあ。
できない日は雨の時ぐらいじゃん。ふう…。

あいにくその日は雨で、外で練習するクラブはほとんど中止となった。

尊は鍵を忘れたと言ってきた日以来、なぜか毎日『忘れた』と言ってくる。

で、結局ずっと一緒に帰る日が続いていた。

昼休み。土砂降りになった雨を肘をついてぼーっと見ていたら、仲良しの友美が肩を叩いた。

「凄い降りだね。帰る時少しはマシかなあ。」

「そうだといいけど。」

「……。あのさあ、咲。この間、噂聞いたんだ。」

「噂?」

「尊くんと咲が付き合ってるんじゃないかって。」

「え…何で?そんな噂たってんの?」

「2学期になって、ずっと一緒に帰ってるから。」




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