銀杏
おばちゃんに報告をして、日曜日の朝は準備にバタバタしていた。
ランニングから帰った尊が、咲のお洒落をしている姿を見て怪訝な顔をする。
「出掛けるの?」
「うん!ね、大丈夫?おかしなところはない?」
くるりと回転して見せた。
「変。」
「……似合わない?」
しょんぼりして俯くと、いきなりバシンッと音がする。
「いってえな!何すんだよ。」
「どこが変なんだよ!?可愛いじゃない!ほんっとにあまのじゃくなんだから。咲ちゃん、尊は誰のためのお洒落か妬いてるだけだから、気にしなくていいからね。全くもう。少しは素直になりなさい!」
おばちゃんは尊をじっと睨んだ。
ちょうどそこへインターホンが鳴って、お兄さんが玄関まで入って来た。
「こんにちは。今日は一日咲さんをお借りします。」
「すみません、お世話かけちゃって。よろしくお願いしますね。」
「行ってきまーす。」
咲は意気揚々と出ていった。