銀杏


「気をつけた方がいいって。
先輩で尊くんのこと気に入ってる人がいて、咲の悪口言ってたって聞いたよ。
その先輩、気が強くて、気に入らない子に意地悪するって…。」

「意地悪…?そんなのされたことないよ。気にし過ぎじゃ…。」

あ…。そう言えば制服がなくなったんだっけ。もう誰も校内に残ってないような時間に、尊が正門のところで誰かと話してた。

「その先輩って、髪がこのくらいの人?」

肩の少し下を指差した。

「知ってるの?」

先輩だったんだ。

あの時、下校時刻はとっくに過ぎてた。なのに尊と一緒だった。

制服を隠した後、尊を待ってたのかな。話をするための時間稼ぎ?それとも単なる嫌がらせ?

私はその先輩のことは顔も知らない。




< 58 / 777 >

この作品をシェア

pagetop