銀杏
一週間が過ぎ……
二週間が過ぎ……
まもなく一ヶ月が経とうとしていた。
ここ最近、咲は出かけることが多い。
探しに行くと大概銀杏並木にいて、いつも黄色く色づいた樹々を眺めている。
この日は博貴さんと約束があると言って出掛けたまま、なかなか帰らなかった。
夜8時を過ぎても帰らない。
母ちゃんは博貴さんを随分信用してるみたいで、大丈夫だと連発する。
俺は母ちゃん程信用してない。だってあいつは…博貴さんは貴士って奴の兄貴だよ。
いつ咲が言い寄られてもおかしくない。
気にしすぎかもだけど……けど……。
俺…咲のことが好き過ぎておかしくなったのかな。
男の妬きもちなんて…咲は笑うだろうか。
みっともない…てバカにするだろうか。
「…ただいま。」
咲が帰ってきた。