銀杏
〈咲side〉
リビングに入るとおじちゃんと尊は食事を終えたところだった。
三人の視線が咲に集中する。
「おかえり。遅かったね。送ってもらったの?」
おばちゃんの質問に黙って首を横に振った。
「え?送ってもらわなかったの?」
「…だから言ったろ?安心できないって。」
尊がそっぼを向いて呟く。
「…向こうの家を出てから寄り道してた……。ごめんなさい。」
俯いて小さな声で答える。
「咲ちゃん。最近、北条さんちに行くといつも遅いね。寄り道で遅くなってるの?」
コクン…と頷いた。
「何をして遅いの?」
顔を上げておばちゃんを見ると、眉間にシワが寄ってる。
「あ…あの、お兄さんが検査の結果が出たから、おじちゃんやおばちゃんも一緒に報告したいって。ウチに来るのいつだったらいいか…て。」
みんなの表情が急に変わった。
「……咲ちゃんは…聞いたの?」
「……うん。教えてもらった。」
「…そう…。私たちが知ってる人?」
コクンと頷く。
「…誰…なの?」
「………。」
おばちゃんもおじちゃんも尊も咲の返事を待った。
「咲ちゃん。ゆっくりでいいよ。まずは座って落ち着きなさい。」