銀杏


お風呂に入ってボーッとしてた。

あまり実感が湧かない。
お兄さんが…お父さん?
嘘でしょう?
信じられない。
まるで他人の話を聞いてるみたい。

“お兄さんは今、いくつだっけ?”

“確か34歳だったと思う”

“私は16だよ。
本当にそうだとしたら18の時の子ということになる。”

“18?
まだ高校生じゃない。
嘘に決まってる。
検査なんて間違ってることだってある。
きっと何かの間違い…”

“じゃあ、気にしなければいいのに。
何言ってんの?…て笑い飛ばせばいいじゃない。
……それができないのはなぜ?”

私の中のもう一人の自分が“そうだ”と肯定している。

“違う…違う…ちが……”

“その根拠は?
自信を持って言える?”

“………”

“………”

“お兄さんと私は似てる?
似てないよ。だから親子なんかじゃない”

“どうしてそこまで否定するの?
お兄さんと親子じゃ嫌なの?”

“そうじゃない”

“そうだよ”

“そうじゃないってば!”




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