銀杏
「当時彼女はまだ18で高校を卒業したばかり。僕は10歳でした。
母は出産後なかなか退院できなくて、母のいない生活は寂しかった。
しかし、退院しても貴士に付きっきりで、相手にされなかった僕は雪乃に母性を求めた。雪乃も僕を受け入れて可愛がってくれました。
成長するにつれ、いつしか母より雪乃の方に甘えるようになり、雪乃の優しさや素直さに惹かれ始めていたんです。
そんな気持ちに気づいたのが高校生の時でした。」
親に対する愛が…世話をしてくれる人に向けられ…いつしか好きな人を愛する気持ちに変わったというの?
………
歳が離れてるというのに?
お母さんは本当に愛していたの?
にわかには信じられない。
お兄さんの瞳をじっと見つめた。