銀杏
「雪乃が突然いなくなったのは17の夏の終わりです。
水泳で大会成績も上位になり、大学も推薦を受けれるだろうし、ゆくゆくは結婚したいと思ってたんです。
それが…あんなことに……。」
「北条さんは彼女が妊娠したことを知ってらしたんですか?ちょうどその頃は妊娠がわかった時期じゃないかしら。」
おばちゃんが初めて口を開いた。
「…妊娠のことは知りませんでした。咲と知り合って初めて雪乃に娘がいたとわかったんです。
もし、雪乃が違う誰かを好きになって生まれたのが咲なら…検査なんかしたくなかった。
ある意味僕にとっては賭けでした。」
「…雪乃さんはそんなにお喋りは得意ではないけれど、とても情に厚い人よ。両想いだったのなら裏切るようなこと絶対にしないわ。」
おぱちゃんがお母さんを擁護してくれる。
「…だからずっと理由がわからなくて……雪乃はあなた方に話したことはないですか?」