銀杏
しばらくしておじちゃんだけが戻って来た。
「…北条くん、悪いが今日のところは帰ってくれないか。妻は今は話ができる状態じゃない。」
「…わかりました。また改めます。」
お兄さんは頭を下げると、おばちゃんのことを気にかけながらも帰って行った。
「……おじちゃん、おばちゃんは大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だよ。ただ彼が父親だったことに驚いてるだけだ。」
…そんなのわかってすぐに伝えてる。
誤魔化さないで。
本当は一体何?
目で訴えても、おじちゃんはおばちゃんの側に行ったきり、部屋から出て来なかった。