銀杏
「そう。血が繋がってればね。」
今…何て?
「俺はね、赤の他人の兄貴だから許せないんだ。実の子は俺だよ?それに…」
赤の他人?
実の子?
何を言ってるの?
「兄貴は俺が好きになった人を横取りするんだ。」
横取り?
まさか。
10歳も離れてるのに好きになる人だって違う筈…。
「例えば…雪乃さん。」
「…え。」
「彼女は生まれた時から一緒だったから、母に甘えられない時は雪乃さんを頼ってた。
でも彼女はいつも兄貴と一緒にいて、俺が甘える隙はこれっぽっちもなかったんだ。
君のことだってそうだ。
俺が咲ちゃんを好きだと知ったら、『諦めろ』と言ってきた。断ると君には尊くんがいるから邪魔はするなだと。
認知をすれば戸籍上、君とは叔父と姪の関係。
そんなの一緒になれる訳がない。
兄貴だけが幸せになるなんて許せない。
思い通りになんてさせない。
だから…俺は君を諦める代わりに、兄貴は認知をしないように約束したんだ。」