銀杏
家に帰ると、おばちゃんは慌ただしく鞄に荷物を詰めていた。
「ただいま。」
「あ、尊。咲ちゃんお帰り。二人ともちょっとこっち来て。」
おばちゃんはリビングに呼び寄せた。
二人でおばちゃんの前に座る。
「田舎のおじいちゃん、急に入院することになったのよ。さっきおばあちゃんから連絡があって。
詳しいことはまだ聞いてないからわからないわ。
向こうに着いたら電話するから、一週間二人だけになるけど、協力して家のこと頼むわよ。
父ちゃんは出張でしばらく帰れないから、戸締まりとかしっかりしてね。いい?
火の元だけは気をつけて。
それじゃ、行ってくる。
お金はここに置いとくからね。」
おばちゃんは一方的にあれこれ言うと、大きなバッグを持って家を出た。