銀杏
「あいつか?」
「あいつ?」
「別れようとか言われたの?」
「…尊のこと?そんなんじゃない。
福田くん…元気だね。」
「そうか?これでも落ち込んだりしたんだけどな。
俺さ…ずっと一文字に謝りたかった。
ごめんな。
あれからスッゲェ後悔して…でも一文字は目も合わせてくれなかったし、いや、当たり前なんだけど…どうやって謝ろうかずっと悩んでて…。」
「いいよ、もう。…気にしないで。」
だって、あれがきっかけで尊とうまくいったんだもん。
「ホントに?ホントにもう怒ってない?
よかった~。
卒業まで口きいてもらえないかも…て真剣に考えてたんだ。」
今は福田くんのあっけらかんとした態度が羨ましい。
そんな風に気持ちを切り替えられたらどんなにいいだろう。
「一文字が落ち込むの、気になるけど訊かない。
あいつに話聞いてもらえ。そんで明日、笑って学校来いよ。約束。」
「……」
そんな自信ないけど…小さく頷いた。
「じゃな。絶対だからな!」
軽く右手を挙げて帰っていった。