銀杏
俺もバカだよな。
わざわざ嫌われるようなことして…。
それにも増して、兄貴はもっとバカだ。
俺が彼女を諦める代わりに認知をしないなんて。
黙ってりゃ済むことなのに、正直にその通りにするなんて。
不器用だな。
……でもそれが兄貴なりの…咲ちゃんを守るための愛し方。
自分を犠牲にしてでも守りたかった…。
でもそんな愛し方…守り方、俺は違うと思う。
俺だったら周りの声なんか無視してやりたいようにやる。
兄貴のやり方は咲ちゃんをも傷つけた。
………そして俺も。
兄貴のこと、どうこう言える立場じゃねえな。
きっと今日のことは忘れられない。
苦い思い出として一生背負っていくのだろうな。
人を傷つけるのは…
簡単で…
傷つけられるより楽だと思っていた。
でも違った…。
とても難しく…
相手を傷つけると自分も傷つくと…知った。