銀杏
「……」
「私が悲しむのを知っててどうしてそんなことするの!?」
「貴士…て奴は咲を諦める代わりに認知はさせないと言ったんだろ。
…ということは博貴さんは弟に咲を諦めさせようとしたんだ。
咲を傷つけないように守ろうとしたんだよ。」
ポロっと一滴零れ落ちると堰を切ったように次から次へと溢れ出る。
「……私を守るため…。うー…くっ…えっ……えぐ…」
泣いてる咲を抱き締めて頭を何回も撫でる。
「声…出していいから。いっぱい出して、おもいっきり泣け。俺が傍にいる。ここにずっといるから。」
「うわぁぁぁ―――……っ!いなくなっちゃった……いなくなっちゃったよぉぉぉ―――……!」
咲の声は家中に響いていて…昨日大泣きしたのも重なって、瞼は更に腫れることになった。