銀杏


「今までどうしてたんですか!?
咲は知ってるんですか?
何で黙って…」

「ち…ちょっと待って。今仕事中だから…君も試合か何かだろ?日を改めよう。これ、名刺。日曜日だったら大丈夫だから。じゃ、頑張って。」

博貴さんは窓を閉めて後ろを確認すると車を出した。

こんなところで会うなんて。
咲は何て言うだろう。
泣いて喜ぶんだろうか?
気持ちは複雑だ。



それからしばらくして博貴さんと喫茶店で会うことになった。

ウチから電車で一時間の距離にある博貴さん指定の小さな店だ。

その町は博貴さんが住んでる町ではないらしい。

何でわざわざこんな遠いとこで約束なんて…?

会って早々、「こんなとこまで呼び出して悪いね。」と詫びた。

「…咲が……いや、咲のこと知ってますか?」

「ああ、記録のことか。知ってるよ。頑張ってるんだな。」

「…誰のためか分かりますか。」




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