銀杏
「……君が…咲を笑わせてやってくれ。俺はあの子にとってはもう用なしだ。」
「…何言って…」
博貴は上を向いて目元を片手で覆った。
「…後悔、…してるよ。
なぜ約束を守らなかったのか。
でもそうせざるを得なかった。
……いや、今となっては何を言っても言い訳だな。」
「今からでも咲に連絡しませんか。せめて居場所だけでも…」
「それはできない。」
「そんなに大事ですか!?弟との約束が。
北海道へ行ってしまってもう関係ないでしょう?
真面目にも程がある。」
「……君はどこまで話を知ってる?
俺たち家族のこと、どれだけ知ってるんだ?」
博貴の質問に尊は固まった。
全部…話してしまってもいいのか、躊躇はしたが黙っていてもいずれは分かることだと「咲から聞いたのは…」と切り出した。