銀杏
「17年前の箱って言ったら分かる?」
「17年前?……そんな前のものが何でここにあるの?」
「友美がね、預かってくれてたの。それで高ニの時返してくれた。」
「友美ちゃんが?ふーん。何で今時分になって見るんだよ。咲のだろ。別に俺関係ない…」
「やっぱり覚えてないんだ。そうだよね、覚えてる方が不思議だよね。」
「何だよ。はっきり言えよ。」
「保育所の庭に埋めた宝箱。二人の宝物を入れたんだよ。」
「……へえ。」
「へえ…て覚えてないの?」
「…うーん。こんなの埋めたんだな。で、何が入ってた?どうせつまんないものだろ?」
「ずっと見る気にならなくて開けてないの。でも尊と一緒に見たくなった。」
「…いいよ、開けて。」
そっと蓋の両端を持ち、引き上げた。