銀杏


尊に抱きすくめられて身動きがとれない。

耳元で尊は囁いた。

「入籍…しない?」

…え?

それはどういう意味で言ってるの?
天宮家の養子になれと言ってるのか、まさか…結婚?

「……」

「今までと生活は何ら変わりないよ。咲は水泳を続ければいい。この家で暮らすんだし。」

「…入籍したら名前が変わる他に何があるの?」

「ああ…部屋、一緒にしてもいいんじゃない?」

「…そんなことしたら着替えらんない。」

「は?何言ってんの。夫婦になったら当たり前じゃん。」

…夫婦?
え…ええええ―――!!

「だ…誰と誰が夫婦なのよ!?」

「…俺と…咲だけど。」

「い…いいい今、大人の付き合いがどうとかって…」

「咲が全然ピンとこないから単刀直入に言った。プロポーズしてんだから、もうちょっと嬉しそうにできねーのかよ。」




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