銀杏
そんなこと…そんなこと…急に言われても、困る!
心の準備ってものが…
「何でいきなり…」
「いきなりじゃない。咲が帰ってから…いや、その前から考えてた。
俺の収入もたくさんではないけど、咲一人養えるぐらいはあるよ。あ、遠征費は別ね。
それに咲が帰ってからは、俺…生殺し状態なの。
隣の部屋で咲が寝てると思うと眠れないの。
母ちゃんや父ちゃんにもコソコソすんのやだし。
ならいっそのこと入籍だけでもしたら堂々としてられるなって。」
確かに尊の言う通りだ。
中学生の時からたまに一緒に寝たりしてたもんね。見つかるとおばちゃんに注意された。
「あの…でも、シーズンオフでないと…。それにお兄さんがまだ…」
「式とかは今すぐしない。役所行って書類出すだけだ。俺たち家族だけの話だよ。誰にもまだ報告しない。そんなんじゃ嫌か?」
「…ううん。その方がいい。」