銀杏
結婚の意味
尊と出掛けた日曜日。
まず始めに行ったのは役所。
予めもらっておいた記入済みの婚姻届をもう一度確認する。
尊の名前を書く欄には『夫になる人』と小さく書かれていて、そこに『天宮尊』と書いた。
尊が夫?
ピンとこないなあ。
咲の欄には『妻になる人』。
妻…妻?
妻だって。うふっ、うふふふ…。
勝手に口元が緩む。
嬉しいような、恥ずかしいような…むず痒い。
心の中をかきむしりたくなるような変な感じ。
「……おい。何ニヤケてんの?気色わりーな。」
「だって、尊が夫だって。ぶふっ。変なの。」
「何がだよ。お前だって妻だろーが。」
尊の何でもない一言が咲の顔を真っ赤にした。
「ばっばか!何で赤くなるんだよ。こっちまで赤くなる…」
見ると咲につられてか尊までみるみるうちに真っ赤になっていく。
「何で尊まで赤くなんの!?」
「知るか!」
二人で真っ赤になりながら受付に提出する様は更に恥ずかしさを増した。