銀杏


日に焼けて随分傷んだ髪。

少し茶色っぽい。

真っ黒な髪もいいけど、この色も似合ってる。

「…随分焼けたね。」

「………」

「あの…さっきはごめんね?その…お風呂に入るのも勇気…いったんだよ?……だから…嫌とかじゃなくて…」

「………」

何も返事しないことにイラッときて、つい言ってしまった。

「聞いてるの!?」

「はあ?何。ドライヤーで聞こえない。」

「人がせっかく謝ってるのに。ちゃんと聞いてよ!」

「何怒ってんだよ。俺が何した?ドライヤーの音で聞こえないつっただけだろ!?」

もう…!何でこんな喧嘩になるの?
疲れてるのは分かる。
でも私だって二日前まで試合だった。
お互い様でしょ。
それなのに……!

「…もういいよ。隣の部屋で寝る。おやすみ。」

立ち上がる咲に尊の低い声が響く。

「…おい、待てよ。」




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